【連載第5回(最終回)】集団投資スキーム(いわゆる「ファンド」)に関する法規制の概説

1 前回の概要

前回は、電子募集取扱業務のうち、金商法3条3号の規定により企業内容等の開示を行う義務を負わない有価証券又は非上場のファンド持分の勧誘であって、少額のものについては、「第二種少額電子募集取扱業務」に該当するということを解説いたしました。

今回は、第二種少額電子募集取扱業務に該当する場合、どのような規制が及ぶかについて、解説をいたします。

2 第二種少額電子募集取扱業務に該当する場合、どのような規制が及ぶのか

⑴ 登録について

第二種少額電子募集取扱業務は、第二種金融商品取引業の一部です。(ざっくりいうと、インターネットで募集する少額のファンドを第二種少額電子募集取扱業務といっているのです。詳細は、第4回をご参照ください。)

そのため、「第二種金融商品取引業のうち第二種少額電子募集取扱業務のみを行おうとする場合」であっても、登録が必要になります(金商法29条)。

その際には、「第二種少額電子募集取扱業務のみを行う」ことを登録することになります(金商法29条の4の3第1項)。

仮に、登録せずに、第二種少額電子募集取扱業務を行った場合、5年以下の懲役若しくは500万円以下の罰金に処され、又はこれが併科(※「併科」とは、懲役刑と罰金刑の両方が科せられることです。)されます(同法197条の2第1項10の4号)。※この点は、無登録で第二種金融商品取引業を行った場合と同様です(第2回をご参照ください。)。

⑵ 資本金について

第二種少額電子募集取扱業務のみを行おうとする法人の場合、最低資本金として500万円が必要です(金商法第29条の4第1項4号イ、金商法施行令15条の7第1項8号)。そのため、資本金が500万円を下回っている場合、増資する必要があります。

個人の場合、営業保証金500万円を主たる営業所の最寄りの供託所(法務局)へ供託し、財務局・財務事務所へ供託の届出をする必要があります(金融商品取引法第31 条の2第2項、金融商品取引法施行令第15条の12第3号)。

第二種少額電子募集取扱業務のみを行う場合には、資本金、営業保証金が軽減されています(第2回で解説したとおり、第二種金融商品取引業者となるには、原則として、1000万円の資金が必要となります。)。

3 まとめ

これまで、5回にわたり、集団投資スキーム(いわゆる「ファンド」)に関する法規制を解説してきました。

5回の連載をごく簡単にまとめると、以下のⅰ、ⅱのとおりになります。

ⅰ 「①お金を集めて、②運用し、③お金を出してくれた人に配当する」行為の勧誘を業として行う場合、「第二種金融商品取引業」の登録が必要となり、1000万円の資金が必要です。

ⅱ 第二種金融商品取引業のうち、インターネットで少額のファンド持分の募集をすることを「第二種少額電子募集取扱業務」といいます。第二種少額電子募集取扱業務「のみ」を行う場合であっても、登録は必要となりますが、資金は500万円あれば大丈夫です。

金商法は、長く、入り組んだ規定も多いですが、投資等を行う場合には、必ず参照が必要な大切な法律です。

今回で、ファンド持分に関する法規制の開設は最終回となります。

皆様の理解の手助けができたならば望外の喜びです。

次回からは、別の連載を考えておりますので、そちらもお読みいただければ幸いです。

ご覧いただきありがとうございました。

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