【連載:第3回】情報開示書面について

■「情報開示書面」とは?

● FC契約の重要事項が簡単にまとめられた書面

情報開示書面とは、法律で決められたFC契約における重要事項を記載した書面のことで、FC契約を締結する前にフランチャイザー(本部)が加盟希望者に交付して説明することが義務付けられている書面です。
「情報開示書面」や「法定開示書面」といわれています。

この情報開示書面について規定する法律は、“中小小売商業振興法(小振法)”という法律です。
この法律のうちFC契約に関する規定については、一般に、小売業や飲食業が対象とされるものの、サービス業には適用されないと理解されているところです。

このため、厳密にいえば、法律上で情報開示書面を義務付けられているのは小売業や飲食業に限られ、サービス業では情報開示書面を開示する必要はないこととなります。

● 小売業・飲食業”以外”のフランチャイズでも情報開示書面を作成・開示するべき!

このように小振法で情報開示書面の開示が義務付けられているのは小売業や飲食業ですが、サービス業といった他業態のFCにおいても、情報開示書面やこれに類する書面、あるいは、法定の重要事項が網羅された説明資料をFC契約の締結までに開示することが強く推奨されるところです。

そもそも小振法が情報開示書面の開示を義務付けたのは、端的に、FCの加盟希望者が契約の内容を勘違いしてしまわないようにするためであって、この趣旨は業態を問わず妥当します。

この点について、公正取引委員会による「フランチャイズ・システムに関する独占禁止法上の考え方」(「フランチャイズ・ガイドライン」)では本部と加盟者の取引の公正を図る目的から業態を問わず、小振法で定められた事項とほぼ同じ内容の情報を開示すべきこととされています。
また、一般社団法人日本フランチャイズチェーン協会では、情報開示書面の事項等を参考に”開示自主基準”を定めており、会員となるFC本部に対しては、この自主基準に沿った書面の作成と加盟希望者への開示を義務付けています。
なお、令和3年10月に公取委等の関係機関へ日本弁護士連合会から提出された「フランチャイズ取引の適正かに関する法律(フランチャイズ取引適正化法)の制定を求める意見書」の内容はフランチャイズ契約の課題を正確に理解するために大変役立ちます。

このように、FC本部としては、加盟希望者がFC契約のリスクや内容を正確に理解するよう、ひいては、フランチャイザーへの説明義務違反となるリスクを回避するためにも、業態を問わず、情報開示書面や重要事項を網羅した説明資料を提供するなど適切な方法で、FC契約のリスクと内容を十分に説明する必要があります

■ 情報開示書面はFC契約の内容と整合していなければならない!

情報開示書面の開示が義務付けれている理由は、長文かつ難解なFC契約書を一読するだけではFC契約の内容を十分に理解できないため、FC契約の重要なポイントについて簡潔にまとめた書面を使用してFC契約内容を理解できるよう手助けしてあげる点にあります。

情報開示書面の役割がそうである以上、情報開示書面は、いずれ交わされることになるフランチャイズ契約の内容と矛盾するものであってはなりません
情報開示書面の内容は、フランチャイズ契約の内容と整合性が保たれていなくては意味がないのです!

むしろ、フランチャイズ契約と矛盾した情報開示書面は、フランチャイザー(本部)と加盟希望者のいずれにとっても有害です。
フランチャイザーにとってみても、せっかくフランチャイズ契約を取り交わしたにもかかわらず、情報開示書面と矛盾した契約内容であっては契約の拘束力が著しく弱くなってしまう可能性がありますし、説明義務違反としてフランチャイジーから賠償金の支払いを要求されたり企業のレピュテーションが下がったりするリスクが高まります。

情報開示書面を作成・開示する意味をきちんと理解して、FC契約と整合し、かつ、法律やフランチャイズ・ガイドライン、協会の開示自主基準を参考にしてFC契約の重要事項を網羅した資料を作成・開示する必要があるのです!

なお、FC契約書を作成する上で留意すべき点などについては、【連載第2回:フランチャイズ契約書の留意点】をご参照ください!

■ まとめ

  1. FC本部は、業態を問わず、情報開示書面やこれに類する説明資料を提供するなど適切な方法で、FC契約のリスクと内容を加盟希望者に十分に説明するべき!
  2. 情報開示書面の内容は、FC契約の内容と整合していなければならない!

弊所では、第4回目以降の記事では、フランチャイザーが加盟店に対してFC事業の説明を行う際に注意すべきポイント(説明義務の範囲)、FCにおける競業避止義務の考え方、業種別のFCの留意点、などについて、順次解説する予定です。

 


執筆者: 弁護士 内藤皓太

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